車中泊のベッドを自作する際、最も重要な天板の選び方に迷っていませんか。ホームセンターには様々なコンパネがあり、その厚みや材質によって強度や寝心地が大きく変わります。
本記事では、ベッド作りに適したウレタンや木材の種類について詳しく解説します。土台となるパイプの基礎知識から、加工しやすい木材の選び方、さらには収納に便利な折りたたみ機能の追加方法まで網羅しました。
また、適切な木材の厚みを知り、仕上げにレザーを張ることで、誰でも簡単にプロのような仕上がりを目指せます。
- 車中泊に適した木材の種類やそれぞれの特徴
- 強度と軽さを両立させるための天板の厚みの目安
- パイプと木材を組み合わせた自作ベッドの製作手順
- ウレタンやレザーを使って快適な寝心地を実現する方法
車中泊ベッドを自作する際の天板の選び方

- 車中泊に適した木材種類の基礎知識
- 天板におすすめの木材と特徴
- コンパネの厚みは12mmが目安
- 強度を左右する木材厚みの選び方
車中泊に適した木材種類の基礎知識
車中泊用のベッドを自作する場合、天板に使用する木材選びは完成後の満足度を左右する非常に重要な要素となります。ホームセンターの資材売り場には多種多様な木材が並んでいますが、ベッドの天板として使用するなら「合板」が最も適しています。
合板とは、薄くスライスした板を繊維方向が直交するように重ねて接着したものです。無垢材に比べて反りやねじれが少なく、強度も均一であるため、DIY初心者でも扱いやすいのが特徴と言えるでしょう。
合板を選ぶ主なメリット
- サイズが豊富で大きな面を確保しやすい(一般的に1820mm×910mmなど)
- 無垢材に比べて安価に入手できる
- 強度があり、湿気による寸法変化が少ない
一方で、一枚板の無垢材や集成材は見た目が美しいものの、重量が重くなりやすく、車内での取り回しや燃費への影響を考慮すると、ベッドの天板としてはあまり一般的ではありません。まずは加工しやすくコストパフォーマンスに優れた合板の中から、用途に合ったものを選ぶことをおすすめします。
天板におすすめの木材と特徴
合板の中にもいくつかの種類があり、それぞれ見た目や強度、重さが異なります。車中泊ベッドの天板として特によく使われる代表的な木材の特徴を理解しておきましょう。
| 木材の種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 針葉樹合板 (構造用合板) | 建築の下地に使われる一般的で安価な合板。 | 安くて強度が高い。 軽量で加工しやすい。 | 表面に節やガサつきが多く、そのままでは手触りが悪い。 |
| ラワン合板 (普通合板) | 広葉樹を使用した合板。 表面が滑らか。 | 表面が平滑で塗装や接着がしやすい。 強度も十分。 | 針葉樹合板に比べるとやや重く、価格も少し高め。 |
| ランバーコア | 芯材に厚い木材ブロックを使用した合板。 | 非常に軽量で反りにくい。 持ち運びが楽。 | 強度は通常の合板よりやや劣る。 価格が高め。 |
| OSB合板 | 木片をプレスして固めたボード。 | 独特の模様がありおしゃれ。 強度が非常に高い。 | 表面が凸凹しており、直接寝るには不向き。 かなり重い。 |
DIYのアドバイス
コストを抑えたい場合は「針葉樹合板」が一番人気ですが、表面がザラザラしているため、上にマットやカーペットを敷くことが前提となります。もし塗装をして木目を活かしたいなら「ラワン合板」や「シナ合板」が綺麗に仕上がりますよ。
それぞれの特徴を比較し、予算や仕上げのイメージに合わせて最適な木材を選定してください。車中泊では荷物の積み下ろしも頻繁に行うため、強度はもちろんですが「軽さ」も重要な選定基準の一つになります。
コンパネの厚みは12mmが目安
天板の材料が決まったら、次に悩むのが「板の厚み」です。一般的に流通している合板の厚みには、5.5mm、9mm、12mm、15mm、18mmなどがありますが、車中泊ベッドの天板として使用する場合、基本的には「12mm」が標準的な目安となります。
厚さ12mmの合板は、適度な強度を持ちながらも、一人で持ち運べる程度の重量に収まるためバランスが良いのです。これより薄い9mmなどでは、体重をかけたときに大きくたわんでしまい、底板が割れるリスクが高まります。逆に厚すぎる板を選ぶと、ベッド自体が非常に重くなり、設置や撤収が重労働になってしまいます。
「コンパネ」とは?
DIYの現場では合板全般を指して「コンパネ」と呼ぶことが多いですが、本来は「コンクリート型枠用合板」の略称です。厚さは12mmが基本で耐水性がありますが、表面が粗いものも多いため、内装に使う際はJAS規格の普通合板を選ぶ方が無難です。

強度を左右する木材厚みの選び方
基本は12mmとお伝えしましたが、ベッドフレームの構造や使用する人の体重によっては、より厚い木材を選んだ方が安全なケースもあります。強度は「板の厚み」だけでなく、「脚(フレーム)の間隔」によって大きく変わるからです。
例えば、ベッド下の収納スペースを広く確保するために、脚と脚の間隔(スパン)を広く取る場合は、12mmではたわみが生じる可能性があります。その場合は、15mmや18mmの厚みを選ぶか、あるいは12mmの板の裏側に角材(補強リブ)を取り付けて強度を増す工夫が必要です。
安全のための注意点
体重が重めの方や、二人で並んで寝るようなダブルベッドサイズの場合は、部分的に大きな荷重がかかります。不安な場合は12mmではなく15mmを選んでおくか、フレームのパイプ本数を増やして荷重を分散させる設計にしましょう。
車中泊ベッドを自作して天板を加工する手順

- 初心者でも簡単な天板の作り方
- イレクターパイプで土台を組む
- ウレタンでクッション性を高める
- 仕上げにレザーを張るメリット
- 便利に使える折りたたみ機能の追加
- 車中泊ベッドを自作して快適な天板に
初心者でも簡単な天板の作り方
DIY初心者の方が天板を加工する際、最もハードルが高いのが「木材のカット」ではないでしょうか。ノコギリを使って直線に切るのは意外と難しく、労力もかかります。そこで推奨したいのが、ホームセンターの木材カットサービスを利用することです。
事前に車内の寸法を正確に測り、簡単な図面を用意しておけば、ミリ単位の精度でカットしてもらえます。これにより、失敗のリスクを大幅に減らすことができるでしょう。
カット済みの木材を持ち帰ったら、最初に行うべきは「ヤスリがけ(サンディング)」です。特に切断面(木口)はバリが出ていて危険なため、サンドペーパー(紙やすり)を使って滑らかにします。このひと手間をかけるだけで、車内を傷つけたり、寝具を引っ掛けたりするトラブルを防げます。
イレクターパイプで土台を組む
天板を支える土台(ベッドフレーム)には、「イレクターパイプ(スペーシアパイプ)」を使用するのが定番です。スチールパイプに樹脂がコーティングされており、軽くて丈夫な上、錆びにくいのが特徴です。
自作の手順としては、まずパイプカッターを使ってパイプを必要な長さにカットし、専用のジョイントパーツで組み上げていきます。メタルジョイントを使用すれば、ボルトとナットで締め付けるだけなので、何度でもやり直しが利き、初心者にも安心です。
フレーム作りのコツ
- タイヤハウスの出っ張りを避けるように脚の位置を設計する。
- 天板の継ぎ目部分には必ずパイプが通るように配置し、荷重を支える。
- パイプの脚先にはアジャスターを付け、床の傾斜に対応できるようにする。
土台が完成したら、その上に先ほど加工した天板を載せるだけで、簡易的なベッドが完成します。しかし、より快適な寝心地を求めるなら、次のステップへ進みましょう。
ウレタンでクッション性を高める
木材の天板に直接寝袋を敷いて寝ることも可能ですが、硬くて背中が痛くなったり、冬場は下からの冷気が伝わってきたりします。そこで、天板の上にクッション材として「ウレタンフォーム」を貼り付ける加工がおすすめです。
ウレタンには様々な種類がありますが、車中泊ベッドには「チップウレタン」と呼ばれる硬めの素材が適しています。柔らかすぎるスポンジでは体が沈み込みすぎてしまい、結局底板の硬さを感じてしまうためです。贅沢な仕様にするなら、硬いチップウレタンの上に柔らかい高弾性ウレタンを重ねた「2層構造」にすると、家のベッドのような寝心地になります。
ウレタンはスプレーのりを使って天板に仮固定し、大きめのカッターナイフで天板のサイズに合わせてカットします。少し大きめにカットしておくと、後の工程で角が綺麗に仕上がります。
仕上げにレザーを張るメリット

ウレタンを貼っただけでは耐久性が低く、見た目も良くありません。最後に「合成皮革(フェイクレザー)」や「布(ファブリック)」を張り込んで仕上げましょう。特に車中泊用としては、PVCレザーなどの合皮素材が圧倒的におすすめです。
| 素材 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| PVCレザー (合皮) | 水や汚れに強く、飲み物をこぼしても拭き取れる。 高級感が出る。 | 夏場は肌触りが少しペタつくことがある。 通気性は低い。 |
| 布 (ファブリック) | 肌触りが良く、温かみがある。 色や柄のバリエーションが豊富。 | 汚れが染み込みやすく、掃除が大変。 擦れに弱い場合がある。 |
レザーを張る際は、天板を裏返し、生地を引っ張りながら「タッカー(大きなホッチキスのような工具)」で留めていきます。角の部分はギャザーを寄せるように折り畳んで留めると、シワなく綺麗に仕上がります。この加工を行うことで、見た目がプロ仕様になるだけでなく、ウレタンの劣化を防ぎ、掃除も簡単になります。

便利に使える折りたたみ機能の追加
大きな一枚板のベッドは寝心地が良い反面、使わないときの収納場所に困ります。そこで、天板を分割して「折りたたみ式」にする工夫を取り入れてみましょう。
方法は簡単で、天板を適切なサイズにカットし、裏面を「蝶番(ちょうつがい)」や「ピアノヒンジ」で連結するだけです。または、レザーを張る際に、2枚の板を少し隙間を空けて並べ、一枚の大きなレザーで包み込むように張ることで、生地自体をヒンジ代わりにして折りたたむことも可能です。
収納性の向上
天板を4分割や6分割にしてパタパタと折りたためるようにすれば、後部座席を使用したままラゲッジスペースにコンパクトに収納できます。車中泊以外の用途で車を使う際にも邪魔になりません。
車中泊ベッドを自作して快適な天板に

- 車中泊ベッドの天板はDIY初心者でも扱いやすい合板を選ぶ
- 加工のしやすさとコストなら針葉樹合板、仕上がりの美しさならラワン合板
- 天板の厚みは強度と重量のバランスが良い12mmが基本
- 脚の間隔が広い場合や体重がある場合は15mm以上の厚みや補強を検討する
- 木材カットはホームセンターのサービスを利用して精度を高める
- 切断面は必ずヤスリがけを行い、怪我や破損を防止する
- 土台には軽量で錆びにくく、組み替え自由なイレクターパイプが最適
- クッション性を高めるには硬めのチップウレタンを使用する
- ウレタンはスプレーのりで仮固定してからカットすると作業しやすい
- 仕上げ素材には水拭き可能で汚れに強いPVCレザー(合皮)がおすすめ
- レザー張りにはタッカーを使用し、生地を引っ張りながら固定する
- 折りたたみ機能を追加することで、収納や持ち運びが格段に楽になる
- 天板を分割する際は、継ぎ目がフレームの上にくるよう設計する
- 自作なら愛車のサイズにぴったり合った隙間のないベッドが作れる
- 快適な天板作りは、事前の正確な採寸と材料選びが成功の鍵となる

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