車中泊での快適な睡眠や温度管理に関する悩みは尽きないものですが、特に換気扇をプラダンで自作する方法について興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。エブリイやハイエースといった車種に合わせた作り方や、100均で揃う材料でコストを抑える工夫はとても気になりますよね。
また、ベニヤと比べてどのようなメリットがあるのか、実際の換気効果や雨の日の対策はどうすれば良いのかといった疑問もあるかと思います。オートバックスなどの量販店では専用の商品が見つからないことも多いため、吸気と排気をうまく使い分けたり窓を開けずに換気したりできる自作システムは本当におすすめです。
この記事では、私が実際に調べたり試したりした経験をもとに、初心者の方でも失敗しない手順をご紹介していきます。
- プラダンを使って低コストで換気扇を自作する具体的な手順がわかる
- 車中泊における換気の重要性と一酸化炭素中毒などのリスク管理を学べる
- エブリイやハイエースなど車種に合わせた設置のコツや雨対策を知れる
- 吸気と排気の使い分けによる効率的な空気循環の方法を理解できる
車中泊の換気扇をプラダンで自作するメリットと効果

まずは、なぜ多くの車中泊ユーザーが手間をかけてまで換気扇を自作するのか、その理由についてお話ししますね。単に「涼しいから」という理由だけでなく、安全面や快適性を保つ上で非常に大きなメリットがあるんです。プラダンを使った自作換気扇は、コストを抑えながらも驚くほどの効果を発揮します。
私自身、最初は半信半疑でしたが、実際に作って設置してみると、車中泊の快適さが劇的に向上しました。特に夏場の暑さ対策や冬場の結露防止には欠かせないアイテムです。
さらに、市販品にはない自由な設計が可能で、自分の車の窓枠にぴったりフィットさせることができます。DIY初心者でも挑戦しやすく、失敗しても材料費が安いのでダメージが少ないのも魅力の一つですね。
換気扇の効果で夏の熱中症や冬の結露を防ぐ
車中泊において、車内の温度と湿度の管理は快適に過ごすための最重要課題といっても過言ではありません。特に夏場は、日中に温められた車体からの輻射熱もあり、夜になっても車内の熱気がなかなか抜けません。
この状態で就寝すると、寝苦しいだけでなく熱中症のリスクが非常に高まります。換気扇を使って強制的に車内の熱い空気を排出し、外の涼しい空気を取り込むことで、体感温度を下げることができ、安眠につながります。
また、冬場の車中泊では「結露」が大敵ですよね。人の呼吸や調理、あるいは暖房器具の使用によって発生する水蒸気が、冷え切った窓ガラスに触れることで結露となります。これを放置すると、窓ガラスがびしょ濡れになるだけでなく、車内のファブリックや内装材にカビが発生する原因にもなってしまいます。カビは一度発生すると除去が難しく、健康被害にもつながりかねません。
換気扇導入のメリット詳細
- 夏場の熱気排出:天井付近に溜まった熱気を効率よく排出し、外気を取り入れることで車内温度を外気温に近づけます。
- 冬場の結露抑制:車内の湿度をコントロールし、窓ガラスの結露を大幅に軽減します。朝起きた時の窓拭き作業がほぼ不要になります。
- 空気の循環:空気が淀むのを防ぎ、カビやダニの発生リスクを低減します。
- 臭い対策:車内で食事をした際の食べ物の臭いや、就寝時の体臭などが車内に染み付くのを防ぎます。
私自身、換気扇を導入してからは、翌朝の窓拭きの手間が劇的に減りましたし、何より車内の空気が淀まないのでスッキリと目覚められるようになりました。特に雨の日の車中泊では、窓を開けられない状況でも換気扇があれば快適に過ごせることを実感しています。
換気扇は必要ですか?一酸化炭素中毒のリスク管理
「窓を少し開けておくだけではダメなの?」と思われるかもしれませんが、安全管理の面から見ると換気扇による強制排気は非常に重要です。特に注意が必要なのが、車内で火気を使用する場合です。車中泊での自炊は楽しみの一つですが、カセットコンロやシングルバーナーなどの燃焼器具を使う際は、十分な換気が必須となります。
命に関わる注意点:一酸化炭素中毒
閉め切った車内でカセットコンロや豆炭あんかなどを使用すると、酸素濃度が急激に低下し、不完全燃焼を起こして一酸化炭素(CO)が発生する危険性があります。一酸化炭素は無色無臭で刺激もないため、発生しても気づくことが非常に困難です。初期症状として頭痛や吐き気が出ることがありますが、そのまま意識を失い、最悪の場合は死に至るケースもあります。
換気扇があれば、常に新鮮な空気を取り入れながら汚れた空気を排出できるため、酸素不足や一酸化炭素の滞留リスクを大きく下げることができます。もちろん、換気扇があるからといって密閉空間での長時間の火気使用を推奨するわけではありませんが、万が一の備えとして「空気の通り道」を確保しておくことは、自分や家族の命を守ることに繋がります。
安全対策の徹底
安全のため、換気扇の設置に加えて、必ず一酸化炭素チェッカー(警報機)も車内に設置することを強くおすすめします。一酸化炭素チェッカーは、安価なものでも十分に機能するものが多く販売されています。天井付近など、一酸化炭素が溜まりやすい場所に設置しましょう。

100均材料を使った自作換気扇のおすすめパーツ
自作と聞くと「高い工具や材料が必要なのでは?」と身構えてしまうかもしれませんが、実は身近な100円ショップやホームセンター、通販サイトで手に入る材料で十分に実用的なものが作れます。高価な専用品を買わなくても、工夫次第で高性能な換気システムを構築できるのがDIYの醍醐味です。
私がリサーチし、実際に試行錯誤してたどり着いた、コストパフォーマンス最強のおすすめパーツ構成をご紹介します。
| 必要な材料 | 入手場所 | 用途・備考 |
|---|---|---|
| プラダン(プラスチックダンボール) | ホームセンター / 100均 | 窓枠にはめ込むベース素材です。900×900mmサイズなどの大きめを買うと、失敗してもやり直せます。色は黒が目立たなくておすすめです。 |
| USBファン(PCケースファン) | 通販サイト / PCパーツショップ | 換気の心臓部です。12cmなどの大きめサイズが風量があってお勧め。静音タイプや風量調整機能付きを選ぶとより快適です。 |
| モバイルバッテリー | 家電量販店 / 通販 / 100均(高額商品) | ファンの電源用です。10,000mAhあれば一晩余裕で稼働できます。車中泊用に一つ専用で持っておくと便利です。 |
| 鉢底ネット・園芸用ネット | 100均 | 虫の侵入を防ぐ網戸として使用します。ファンのサイズに合わせてカットして使います。 |
| 隙間テープ・養生テープ | 100均 | プラダンと窓枠の隙間を埋めたり、パーツを固定したりするために必須です。黒色のテープを選ぶと見栄えが良いです。 |
| 結束バンド(タイラップ) | 100均 | ファンやネットをプラダンに固定するために使います。ネジよりも手軽で、プラダン素材との相性も良いです。 |
特にUSB接続タイプのPCファンは、5Vのモバイルバッテリーで手軽に動かせるので車中泊に最適です。12Vの車載バッテリーから電源を取る必要がなく、配線の手間も省けます。また、PCファンは耐久性が高く、連続稼働にも強い設計になっているものが多いので安心です。
100均の鉢底ネットをファンの外側に貼り付けるだけで、ハエや蚊はもちろん、小さな羽虫の侵入も防げる立派な防虫網戸になりますよ。
プラダンとベニヤの違いや加工のしやすさを比較

自作換気扇のベース素材としてよく比較されるのが「プラダン(プラスチックダンボール)」と「ベニヤ(木材)」です。どちらにもメリット・デメリットがありますが、DIY初心者の方や、まずは手軽に試してみたいという方には断然プラダンをおすすめします。
プラダン(プラスチックダンボール)のメリット
プラダンの最大の魅力は、何といってもその加工のしやすさです。カッターナイフやハサミでサクサク切れるので、特別な工具は一切不要です。女性一人でも簡単に作業できますし、万が一切り間違えても安価なので買い直しが容易です。
また、中空構造になっているため非常に軽量で、窓ガラスに負担をかけません。さらに、空気の層があることで断熱効果も期待でき、外気の影響を受けにくいという特徴もあります。耐水性もあるため、雨に濡れても腐る心配がありません。
ベニヤやMDFボードのメリットとデメリット
一方、ベニヤやMDFボードは強度が魅力です。ファンをネジでガッチリ固定でき、たわみも少ないため、耐久性の高い換気扇を作ることができます。また、塗装やリメイクシートを貼ることで、車内のインテリアに合わせた家具のような見た目に仕上げることも可能です。
しかし、加工にはノコギリやドリルが必要で、騒音や木屑の処理も大変です。また、湿気に弱く、カビたり反ったりするリスクがあるため、防腐塗装などの下処理が必要になります。重量もあるため、設置時の落下防止対策も重要です。
まずは手軽なプラダンで作ってみて、機能性や使い勝手を確認した上で、さらなる強度や見た目を求めて木材に挑戦するというステップアップが良いかなと思います。プラダンでも、2枚重ねにしたりフレーム補強を入れたりすることで十分な強度を確保できますよ。
オートバックス等にない窓用換気扇は自作が基本
「作るのが面倒だから完成品を買いたい」と思って、オートバックスやイエローハットなどの大手カー用品店を探してみても、実は車中泊専用の窓埋め込み型換気扇というのはほとんど取り扱われていません。
カー用品店で売られているのは、シガーソケットから電源を取る車内扇風機や、ダッシュボードに置くタイプのサーキュレーターが主で、窓にはめ込んで排気を行うタイプの換気扇は一般的ではないのです。
キャンピングカー専門店や一部のアウトドアショップに行けば、専用のウィンドウファンなども販売されていますが、価格が数万円することも珍しくありません。また、特定の車種専用設計だったり、汎用品でも取り付けが複雑だったりと、導入のハードルが高いのが現状です。海外製の製品を通販で見かけることもありますが、窓の形状に合わなかったり、電源規格が異なったりするリスクもあります。
その点、DIYなら数千円程度の予算で自分の車にぴったりの換気システムが手に入ります。自分の手で作ることで愛着も湧きますし、構造がシンプルなので、万が一ファンが故障しても交換が容易です。
自分の車の窓枠に合わせてミリ単位で調整できるため、隙間なく設置でき、虫の侵入や冷気の漏れも最小限に抑えられます。「ないものは作る」という精神で、ぜひ自作にチャレンジしてみてください。
車中泊用換気扇をプラダンで作る具体的な手順とコツ

それでは、実際にプラダンを使って換気扇を作る手順を見ていきましょう。車種が違っても基本的な考え方は同じですので、ぜひ参考にしてみてください。ここでは、失敗しないためのコツや、よりきれいに仕上げるためのポイントも交えて解説します。
エブリイの換気扇を自作する際の窓枠型取り方法
まずは窓枠のサイズに合わせてプラダンをカットするための「型取り」から始めます。これが一番重要な工程であり、ここでの精度が完成度を左右します。慎重に行いましょう。
- 窓を全開にする
作業しやすいように窓を一番下まで下げます。安全のため、エンジンを切った状態で行いましょう。 - ゴミ袋で型を取る
いきなりプラダンを切るのではなく、45Lなどの大きめの透明なゴミ袋を窓枠に当てます。マスキングテープなどで仮止めし、油性マジックで窓枠の溝(サッシ)のラインを丁寧になぞります。プラダンは窓枠の溝に入り込んで固定されるため、実際の窓開口部よりも大きく作る必要があります。溝の奥までしっかり型取ることがポイントです。 - 型紙をプラダンに写す
ゴミ袋をプラダンに重ね、型を写し取ります。この時、プラダンの「目(ストライプの方向)」を縦にするか横にするかで強度が変わります。一般的に縦方向の方が折れにくいですが、用途に合わせて選びましょう。 - プラダンをカットする
型紙に合わせてプラダンをカットします。カッターナイフを使う際は、定規を当てて真っ直ぐ切ると綺麗に仕上がります。このとき、窓ガラスを閉めたときに下からプラダンを挟み込んで固定できるようなサイズ感に調整するのが最大のコツです。少し大きめにカットしておき、実際に窓にはめ込みながら微調整していくと失敗がありません。
エブリイなどの軽バンは窓枠の形状が比較的シンプルなので、初心者でも型取りしやすいですよ。隙間ができそうな場合は、少し大きめに作って押し込むようにするか、隙間テープで調整しましょう。
ハイエースの換気扇もプラダンなら簡単に設置可能
ハイエースのような大きな窓を持つ車種でも、プラダンなら問題なく設置できます。ハイエースの小窓(スライド窓)は車中泊に最適な換気ポイントです。特にハイエースは車内空間が広いため、換気能力の高いファンを選ぶか、複数設置することを検討しても良いでしょう。
ハイエースの場合、小窓用の網戸レールがある車種もありますが、基本的には窓枠の溝や中桟(窓ガラスを仕切っている縦の棒)を利用して固定します。プラダンであれば、ホームセンターで売っている大きめのサイズ(900×1800mmなど)を購入してカットすれば、大きな窓全体を覆うことも可能ですし、必要な部分だけをパネル化することも容易です。
車中泊仕様にカスタムされたハイエースでは、内装に合わせてプラダンにカーボン調のリメイクシートを貼るなどして、デザイン性を高めている方も多いですね。
補強のコツ
サイズが大きくなるとプラダンがたわみやすくなり、強度が心配になることがあります。その場合は、プラダンを2枚重ねて貼り合わせるのが有効です。
この際、1枚目のプラダンの目(縞模様)と2枚目のプラダンの目を、縦横直交するように(クロスするように)貼り合わせると、ベニヤ板並みの強度が出せます。また、アルミのフラットバーなどを芯材として入れるのも効果的です。
吸気と排気を使い分けて車内の空気を循環させる

換気扇を設置したら、ただ回すだけでなく「空気の流れ」を意識すると効果が倍増します。換気とは、空気を入れ替えることです。入ってくる空気(吸気)と出ていく空気(排気)のバランスが重要です。
- 排気(車内→車外):基本の使い方です。車内の天井付近に溜まった熱気や、調理後の臭いを外に出します。ファンを外向きに風が出るように取り付けます。
- 吸気(車外→車内):ファンを内向き(または逆回転機能付きファンを使用)にして、外の新鮮な空気を取り込みます。夏の夜など、外気温が車内温度より低い場合に有効です。
おすすめは、「対角線の窓を少し開けて吸気口にし、換気扇で排気する」という方法です。例えば、右後ろの窓に換気扇(排気)を設置した場合、左前の窓(助手席など)を少し開けて吸気口にします。こうすることで車内に大きな空気の流れ(ドラフト)が生まれ、効率よく換気が行われます。
もし換気扇を2つ設置できるなら、片方を吸気、もう片方を排気にして強制的に循環させるのも最強の組み合わせですね。扇風機を併用して、空気を攪拌するのも効果的です。
車中泊で雨の日に換気するにはドアバイザーを活用
車中泊で困るのが雨の日の換気です。通常の換気扇はファン部分に穴が開いている状態なので、そのままでは雨が降り込んでしまいます。しかし、雨の日こそ湿気がこもりやすく、換気が必要なタイミングでもあります。
ここで役立つのが、車に付いているドアバイザー(サイドバイザー)です。ファンをプラダンの上部(ドアバイザーに隠れる位置)に設置するように設計すれば、少々の雨ならバイザーが屋根代わりになって濡れずに稼働させることができます。型取りの段階で、ファンがバイザーの内側に収まる位置に来るように調整しましょう。
もしドアバイザーがない場合や、風が強くて横殴りの雨が吹き込んでくる場合は、プラダンの端材を使ってファンの上に小さな「フード(屋根)」や「ルーバー」を自作して貼り付けるのも効果的です。
下向きに開口するフードを作れば、雨の侵入を防ぎつつ排気が可能になります。また、PCファン用のフィルターカバーなどを活用するのも一つの手です。

窓を開けずに換気するには隙間埋めと目隠しが重要
防犯上の理由から「窓を開けていると外に知られたくない」「寝ている間に窓から覗かれたくない」という方もいらっしゃると思います。今回ご紹介しているプラダン換気扇なら、窓の開いている部分をプラダンで完全に塞ぐ形になるため、外から手が入るような隙間はありません。
さらに防犯性とプライバシー保護を高めるためには、以下の工夫がおすすめです。
防犯とプライバシー保護の工夫
- 黒色のプラダンを使う:多くの車の窓ガラスやサッシは黒色系です。黒色のプラダンを使うことで、スモークガラスと馴染んで一体感が出ます。遠目には窓が閉まっているように見え、違和感がなくなります。
- ファンを目隠しする:ファンの外側に黒いメッシュや、下向きのルーバー(ガラリ)状のカバーを付けることで、換気中であることが分かりにくくなります。また、車内からの光漏れも防げます。
- 隙間を徹底的に埋める:窓ガラスとプラダンの隙間、プラダンと窓枠の隙間を、厚手の隙間テープや養生テープでしっかり塞ぎます。これにより、虫の侵入防止はもちろん、車内の音漏れ防止や、外からの冷気の侵入を防ぐ断熱効果も高まります。
ただし、プラダンはカッターで切れてしまう素材ですので、物理的な強度はガラスに劣ります。SA・PAや道の駅など、人の目がある場所では比較的安全ですが、人目の少ない場所や治安に不安がある場所で長時間車から離れる際は、必ず換気扇を取り外し、窓を完全に閉めて施錠するようにしてくださいね。安全第一で車中泊を楽しみましょう。
(出典:警察庁『犯罪統計資料』)
車中泊の換気扇はプラダンで自作して快適に過ごす

車中泊における換気扇の導入は、コストパフォーマンスが非常に高いカスタムの一つです。数千円の材料費と少しの作業時間で、夏の寝苦しさや冬の結露、そして車内の臭い問題から解放されるのは本当に大きなメリットだと思います。何より、自分で工夫して作った道具で快適に過ごせるという体験は、車中泊の楽しさを何倍にも広げてくれます。
プラダンでの自作なら、失敗してもやり直しがききますし、自分の車のスタイルや使い勝手に合わせて自由にカスタマイズできる楽しさもあります。
「もう少し風量が欲しいな」と思えばファンを追加したり、「見た目を変えたいな」と思えばリメイクシートを貼ったりと、進化させていくこともできます。まずは100均で材料を揃えて、自分だけの快適空間作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
この記事が、あなたの安全で快適な車中泊ライフの一助となれば幸いです!

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